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ある詩

一日十時間働いている / 一日一本たばこを吸う / 一日千秋とは程遠く / 一日二食の飯を食らう 。晴れた日の土曜日は起き抜けに発泡酒のプルタブをあけて、肌寒い雨の日はレンジ加熱した牛乳に口付ける。会…

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フランシー、ねえ卵子

女の身体は玉子みたいだ、とか言うけど。女が玉子なら男は何?大層立派な鶏冠乗せた、殿様気取りのニワトリにでもなったつもりなわけ。うんそうだよ、じゃないさ、所詮は只の有精卵だろ、だって生涯同じ穴の狢。 小…

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忘れる死

鈍重に歪みのかかった灰みたいな空とか、無鉄砲に光り散らかしやがる電飾とか、先端恐怖症患者の大量虐殺兵器みたいな氷柱とかが騒がしく胸壁を叩いたり引っ掻いたりする、冬が心底嫌いです。春の嘘みたいに腑抜けた…

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食餌

食べることが苦手である。「好きだけど苦手」という感覚は誰しも持っていると思うんだけど、至極それに近い感覚。 十年前に摂食障害を患ってからというものの、どうも真面に食事を楽しめない。 酒の席であれば自分…

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メルカリ

夜の国道を上から眺めたことがある?俺はある。国道沿いに建つマンションの四階から眺める夜の国道。あれは百万ドルの夜景より世界最先端の電子光学が映すイルミネーションより手術室のLED天井照明よりも眩しくて…

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かみしめて

咀嚼が好きだ。 「よく噛んで食べなさい」とはあまり言われずに育った。餅を喉に詰まらせて死ぬなといった程度の忠告しか受けなかった気がする。それよりも箸の持ち方を教える方に我が両親は尽力していた。 十代の…

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酌に捧ぐ

俺は何だかずっと胸が張り裂けそうだよ。って囁くお前の額に万札ぐらいはくれてやる。アイスティーを飲んだ後の午後の夕立は不自然に柔らかかった。静謐に揺れる陽炎の中でお前だけがめらめらと燃えていたね、欠伸を…

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ク・キュウ

九月に入った途端、夏の魂が抜けた。太陽も蝉も入道雲もクリームソーダもとしまえんもあの子の揺れるミニスカートも皆一斉に死んだらしい。夏が何処へ行こうが投身自殺を図ろうが引き留めやしないよ俺は。グッバイフ…