ブリキの雨
にびいろの夏の空気が、アスファルトや、信号機に憑依している。ブリキのバケツを叩くようなけたたましい轟音が、遠くから聞こえる祭囃子のように、しんなりと近づいてくる。おれは夏が得意ではない。夏の真ん中、と…
にびいろの夏の空気が、アスファルトや、信号機に憑依している。ブリキのバケツを叩くようなけたたましい轟音が、遠くから聞こえる祭囃子のように、しんなりと近づいてくる。おれは夏が得意ではない。夏の真ん中、と…
春が嫌いである。 春の香りが嫌いである。 寒暖差の激しいところも嫌いだし、四六時中風が強いのも気に食わない。 だいたい、春に良い記憶が無い。たいがいクソみたいなことが起きるときは春で、しかもそのクソみ…
冬のするどい空気の中で、星を見ている。すぐにオリオン座を見つける。どうにかして一句詠みたいような、そんなことをするのは無粋のような、曖昧な心境で相変わらず星を見る。何か鳥の囀りが聴こえる。奥の方から街…
管理人の身でありながら、長らく沈黙を破れなかったことをかたじけなく思う。留守にしていたということでなんとか言い訳の体裁を取りたい。取らせて欲しい。世に必要なのは”まことのこと”…