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もしもお酒が飲めたなら

下戸だ。 力いっぱい下戸だ。 もし、あなた。ほろよい一缶で酩酊を体験できるのならば、それはむしろ安上がりではないですか。幸福ではないですか。と問う人があるかもしれない。否。下戸はつらい。下戸はつらいん…

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ある詩

一日十時間働いている / 一日一本たばこを吸う / 一日千秋とは程遠く / 一日二食の飯を食らう 。晴れた日の土曜日は起き抜けに発泡酒のプルタブをあけて、肌寒い雨の日はレンジ加熱した牛乳に口付ける。会…

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フランシー、ねえ卵子

女の身体は玉子みたいだ、とか言うけど。女が玉子なら男は何?大層立派な鶏冠乗せた、殿様気取りのニワトリにでもなったつもりなわけ。うんそうだよ、じゃないさ、所詮は只の有精卵だろ、だって生涯同じ穴の狢。 小…

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クリアランス

uri gagarn / Clearance 頭に浮かんだもの: 午前4時の窓から差し込むやけに青白い日光。糊のきいたワイシャツ。肌寒い夕方。真新しいステンレスの輝き。古ぼけたステンレスの濁り。自分の…

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あしおと

歩くとき、足音に気を配っている。 踵を引きずるように歩いてはいけない。つま先を地面に叩きつけるように歩いてはいけない。踵を、そっと、地面に置くようにして、ゆっくりたしかに歩かねばならない。 ちょうどい…

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神様がくれたもの

僕のふくらはぎにはおっぱいがある。 いや、何、こんな書き出しで始めたからって、別に気が狂ったわけじゃない。確かに、今月家計が苦しいとか、毎日退屈だとか、毎夜ごとの歯軋りのせいで右の下の奥歯のエナメル質…

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うちに

困窮、と書くと少々大袈裟だが、ともかく、僕も人並みにお金に泣かされてきた一人である。一社会人としてカウントできるかどうかはさて置いて、自分の飯を自分で確保できるようになってからは、ようやくお金に泣かさ…

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アルコール

身体がアルコールを受け付けないというのは淋しいことだ。これまでの人生、いわゆる微酔というのを経験したことがない。常に素面か酩酊のどちらかである。飲み方が下手くそというのはあるだろうが、それにしても意識…

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77億のうた

生きていくことはきっと辛いことだ。僕はそれを曖昧にして生きるつもりはない。けれどきっと人の一生は、絶望してしまうほどに辛いものでもない。そう信じて生きてきたし、今でもそう信じている。 今この瞬間に、遠…

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雨、ぽたぽたと

“水より柔軟なものはない”と言う。誰が言ったか、言い得て妙。連日の大雨でふと思い出した言葉だ。 風呂場の、あるいは手洗い場の、どこでもいいが、とにかく排水溝に水が流れ込んでいく…