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食餌

食べることが苦手である。「好きだけど苦手」という感覚は誰しも持っていると思うんだけど、至極それに近い感覚。

十年前に摂食障害を患ってからというものの、どうも真面に食事を楽しめない。
酒の席であれば自分のペースで飲み食いできるので大して気に病むことはないが、昼間ランチに出るというならメニューの端から端まで舐めるように見、最も低カロリーそうなものを選んでしまうし、同席する相手のペースに合わせて食べ進めるものだから、キチンと咀嚼できた試しがない。日々の食事はほぼ毎日同じ物ばかりを胃に取り込んでおり、姿見に身体を映せば十年前と変わらずあばらが浮き出ていることに安堵している。

他人から受け取る菓子は多くのケースで棄てている。これを「正常じゃない」と非難するのが普通だろうが、「正常じゃない」行為が精神を安定させているのもまた異常(という自覚はある)。数百グラムの変化に一喜一憂し、自分で勝手に決めた基準値をはみ出そうものなら、その日は舌を噛み切ってしまいたいほど後悔する。

できれば還暦までには死んでいたいし、パートナーも子も今の自分には不要だと思い込んでいる為、きっとこの習慣=病は治らない、治さない。自分の場合、拒食症/過食症よりかはオルトレキシア、に近いのだが、通院をしてメンタルコンディションを整えてもらおうという気も更々ない。摂食障害は暫し、「ストイックな人が陥り易い」と謳われているけれど、残念ながら自分はスの字も掠っちゃいない。治癒力の低下から随分昔に出来た痣を幾つも膝の皿に作り、酒を啜ってはたばこを吸い、エンプティーカロリーを取り込んで浮遊するように生きている、所詮は中身のない空っぽな人間なのである。

翳目

服 酒 音楽 吉祥寺在住 色々な事に興味があります

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