空は広く、雲は形を変えながら歩行する。待たずとも、カレンダーをめくるように季節は移りゆく。やがて散った。秒針が止まっても日は昇るし、陽は落ちていく。可憐な花は、微かにする香りがとても優しい。線香から漂う無彩色の煙はいつだって優しかった。掴めたとしたら、どんな感触がするんだろう。触れられないものに触れることが可能ならば、二度と触れられないものにもう一度触れることができるのならば、欲のままに応じてしまうのだろうか。
感情が、生きたいと言っていた。私も生きたいと言った。私の身体で共に泣こうと言った。なんだか虚言みたいだ。