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雨、ぽたぽたと

“水より柔軟なものはない”と言う。誰が言ったか、言い得て妙。連日の大雨でふと思い出した言葉だ。
風呂場の、あるいは手洗い場の、どこでもいいが、とにかく排水溝に水が流れ込んでいくのを見るのが好きである。用を終えた水をゴクゴクと飲み込んでいく排水溝。大雨の日は、これが街中のそこかしこで起こっているのだということを実感できるから最高だ。車窓から見えるすべての雨樋に水が流れ、合理的に排出されて側溝に落ちる。それらはすべて、乱暴に川にブチ込まれる。そして海へ。人生ならぬ”水生”、一遍の文句も言わず粛々と運命を受け容れる水。どうしようもない人間どもを差し置いて、今日も雨は街を濡らす。僕はそれをずっと見ている。

テオ・金丸です。コーポ湊鼠管理人。

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